シロアリの種類について
2025/08/06
シロアリはゴキブリの一種であるものの、独自の生態系、生息場所、食習慣を持っており、種類によってその特徴が異なります。
こちらでは、家屋に被害を与える代表的なシロアリの種類について詳しくご紹介します。
ヤマトシロアリとイエシロアリ

日本で家屋に被害を与えるシロアリの主な種類は「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。
これらは日本国内の異なる地域に生息し、外見もそれぞれ異なります。 ヤマトシロアリとイエシロアリのそれぞれの特徴を詳しくご紹介します。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは、北海道の北部を除く日本全国に広く生息しており、特に湿気の多い場所を好むため、家の水回りや床下、柱の下などでよく見られます。
生息地が広いこともあり、住宅へのシロアリの被害はこのヤマトシロアリが8~9割を占めています。
ヤマトシロアリは地面近くで生活することが多いですが、雨漏りなどにより水分が屋根裏に及ぶ場合、そこにも生息することがあります。
ヤマトシロアリは基本的に巣を作るわけではなく、実際に被害を受けている木材を生活の基盤とします。これらのシロアリは臆病な性格で、蟻道が破壊されると散らばってしまい、被害が広がる可能性があります。
そのため、蟻道を見つけても、一旦そのままにして専門家に依頼するのが賢明です。
イエシロアリ
イエシロアリは、神奈川県以西の温暖な海岸地帯に主に生息しており、千葉県の一部や南西諸島、小笠原諸島にも生息しています。
この種のシロアリは非常に大きな巣を作ることがあり、100万匹規模に達することもあります。スズメバチの巣のような大規模な巣を作ることが特徴です。
ヤマトシロアリと異なり、水を運ぶ能力があり、巣を拠点に屋内を自由に移動できるため、家屋に大きな被害を与えることがあります。
また、攻撃的で凶暴な性格を持ち、家屋を驚異的なスピードで食い荒らします。現在は生息地が限られていますが、地球温暖化による北上傾向が見られるため、注意が必要です。
ヤマトシロアリとイエシロアリの見分け方

ヤマトシロアリとイエシロアリを見分ける方法には、いくつかのポイントがあります。
特に、羽アリの色や活動時間に違いが見られます。ヤマトシロアリの羽アリは、比較的黒っぽい色をしています。これらの羽アリは通常、4月から5月の昼間、明るい時間帯に飛びます。
一方で、イエシロアリの羽アリは茶褐色で、6月から7月の夕方から夜間、特に暗い時間帯に活動し、街灯などの光に集まる傾向があります。
成虫を見る場合、特に「兵蟻」と呼ばれるシロアリは見分けが簡単です。
ヤマトシロアリの兵蟻は頭部が細長く、円筒状であるのに対し、イエシロアリの兵蟻は頭部がタマネギのような形をしています。もし羽アリや兵蟻を見つけた場合は、慎重に観察して、シロアリであると判断されたら迅速に対策をすることが大切です。
近年は外来種の被害も報告される

「アメリカカンザイシロアリ」という種類のシロアリによる被害が近年、日本でも報告されています。
この種はアメリカやヨーロッパで深刻な被害をもたらしており、輸入木材を通じて日本にも持ち込まれたと考えられています。
カンザイ(乾材)シロアリは、乾燥した木材を生息地とし、家屋のどこにでも住み着く能力を持っています。 一般的なシロアリが生きるためにはある程度の水分が必要なのに対し、アメリカカンザイシロアリは非常に少量の水で生きることができ、最大で5年間も水なしで生きることが可能です。
特徴的なのは、発生のきっかけが他のシロアリと異なることです。
在来種のシロアリはほとんどが地下からの蟻道を通じて侵入するのに対し、アメリカカンザイシロアリは飛来して直接巣を作るため、通常の防蟻処理では対処が困難です。
巣は数百匹規模で比較的小さく、屋根裏などで巣を作り少しずつ家を食べて被害をもたらしますが、被害に気付くのは難しいです。アメリカカンザイシロアリの羽アリは3月から11月にかけて発生し、飛翔能力は弱いものの、気づかぬうちに被害地域が広がっています。
東京都の江戸川区や中野区、神奈川県の横浜市、名古屋市、大阪市などで被害が確認され、分布範囲を拡大しています。
駆除しても再度飛来するため、駆除業者にとっても非常に厄介な存在で、現在も駆除方法の確立に向けた取り組みが続いています。
フンで確認!?アメリカカンザイシロアリの侵入

アメリカカンザイシロアリの存在を確認するためのポイントの一つとして、フンの存在があります。
このシロアリは小さな穴を開けて顆粒状のフンを落とすため、「なぜここに砂が?」と思った場合、それがアメリカカンザイシロアリのフンである可能性があります。
さらに、アメリカカンザイシロアリが生息する地域では、市区町村のホームページで注意喚起や対策のアドバイスが行われていることもあります。 新築を計画する際や引っ越しを考えている場合には、事前にアメリカカンザイシロアリに関する情報を集めることが重要です。
これにより、未然にシロアリの被害を防ぐ手助けになります。
駆除前にお家の保証書を確認しましょう

シロアリは建物の下や壁の中など、ふだん目に見えない場所で静かに被害を進行させるため、ご自身でチェックするのは簡単ではありません。
「うちは大丈夫」と思っていても、気づいたときには構造に影響するほど被害が進んでいた…というケースも少なくありません。
シロアリの被害は、原則として瑕疵担保責任の対象外ですが、新築住宅では、ハウスメーカーや工務店が独自にシロアリ保証を付けている場合があり、一定期間内であれば無償点検が可能なことがあります。
また、中古住宅でも、過去にシロアリ防除工事を行った業者が発行した保証書が残っていれば、それに基づく保証が受けられる可能性があります。
一戸建ての場合、ハウスメーカーや建築業者から保証書を受け取っていることが多く、保証期間内であれば床下点検や駆除が無償で行われるケースもあります。
専門業者による点検では、家の外回りをチェックするだけでなく、床下に潜って調査を行います。
蟻道などは素人目にも見つけやすいものですが、コンクリート基礎のクラックからシロアリが侵入するような場合は、専門家でなければ気付きにくいです。
シロアリの疑いがある場合は、専門の業者に迷わず相談することが大切です。
保証書があっても保証外となるケースもあります
保証書がある場合でも、対象外となるケースがあることに注意が必要です。
例えば、アメリカカンザイシロアリはその地域内に自宅が存在する限り、どんなに対策を講じても飛来する可能性があるため、多くの保証書では対象外になっています。
また、改築や増築された部分も保証の対象外となることがあります。シロアリ駆除剤が散布された建物の範囲が保証の対象となりますが、その範囲は散布された部分に限定されるため、後から行われた改築や増築部分は含まれないことが一般的です。
そのため、改築や増築を計画する際は、それがシロアリ保証の範囲にどのように影響するかを確認し、必要に応じて追加の対策を検討することが重要です。
シロアリ駆除は業者へ依頼を!

シロアリの発生を確認した場合、自分での駆除はお勧めしません。特にヤマトシロアリに関しては、市販のシロアリ駆除剤を使用すると、シロアリが怖がって隠れてしまい、状況が悪化することがあります。
また、シロアリを忌避する効果のある殺虫剤の使用も避けるべきです。これを使うとシロアリが家の中で散らばり、結果的に被害が拡大する恐れがあります。
シロアリの完全駆除は専門知識が必要で、個人で対応するのは一時的な効果にとどまります。 そのため、家でも庭でもシロアリの痕跡を見つけた場合は、保証書に記載されている業者に速やかに連絡しましょう。
保証書がない場合や保証期間が終了している場合は、シロアリ駆除の専門業者に依頼するのが最適な対策となります。専門業者に依頼することで、根本的な解決が可能になります。
まとめ
シロアリは見えない場所で静かに家を蝕むため、被害に気づいたときにはすでに深刻化しているケースも少なくありません。
日本で主に見られるのはヤマトシロアリとイエシロアリですが、近年ではアメリカカンザイシロアリの被害も増えており、種類ごとに生態や被害の広がり方、駆除方法も異なります。
保証書がある場合は、まず内容を確認することで無償点検や駆除が可能なこともありますが、保証外となる条件も存在するため注意が必要です。
市販の薬剤による自己処理はかえって被害を広げる恐れがあるため、シロアリの疑いがある場合は、専門業者に相談するのが最も確実な方法です。
「もしかして…」と思ったら早めの点検と相談を。小さな気づきが、大切な住まいを守る第一歩です。
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