シロアリはとても厄介な生き物です。大切なお家を静かに食べていってしまい結果的に家全体を食べ尽くしてしまいます。
そんなシロアリにどのようなお家、環境だと狙われやすいのか、この記事でご紹介します。
狙われやすい家を知ってシロアリ予防につなげましょう。
シロアリが好む環境
温暖な場所
イエシロアリが最も深刻な被害を引き起こすのは、その理想的な温度が30℃〜32℃のときです。
湿気のある場所
水気が豊富で、高湿度の環境を好む傾向にあります。
※例外として、アメリカカンザイシロアリは乾燥を好むことが知られていますが、その生息範囲は限られており、一般には「湿気のある場所」と考えて問題ありません。
風通しの悪い場所
風の流れに敏感で、風が少なく空気が滞る場所を選びます。
日陰の場所
太陽の光に敏感であり、移動する際は日陰を活用します。
シロアリ被害に遭いやすい家の傾向
今度は実際の建物、主に戸建てを例に被害に遭いやすいお家の例をご紹介します。
床下が低い
床下が狭くなると、風の流れが妨げられ、シロアリが好む静かで空気の停滞した環境ができあがります。特にキッチンや浴室など、温度が高めの場所の床下はシロアリの発生率が上がります。
床下が隅々まで点検できない住宅
床下空間が狭い場合、風通しの悪さが問題となり、空気の停滞を好むシロアリにとって理想的な生息環境が形成されやすくなります。そのため、現行の建築基準法では、地面から床の高さを最低45cm以上保つことが義務付けられています。
これにより、床下の空気が適切に流れるようにし、シロアリの侵入と定着を防ぐ効果があります。
しかし、地面をコンクリートで覆うなどの防湿対策を施した場合や、狭小地に建てられた3階建てなどの物件では、床下空間が低く、人が入れない状況がしばしばあります。
人がかろうじて入れるような場所でも、基礎の一部が塞がれていたり、配管が床下に張り巡らされて通行が困難な住宅も少なくありません。
建物内でシロアリが侵入しやすいのは床下の空間ですが、この床下を点検できないと、必要なメンテナンスが行えず、防虫対策も適切に実施されないことになります。部分的にしかアクセスできない場合や、特定の部屋の基礎で空間が塞がれている場合は、新たな点検口を設けることで対応可能です。しかし、床下にまったく入れない場合は対処が非常に困難となります。
床下が土で湿った環境にある
最近、ベタ基礎が普及するにつれて、床下が直接土壌に触れている物件は減少しています。それでも、中古住宅市場にはまだ多くの床下が土壌である物件が存在します。私達が床下調査を行う際に特に注意を払うポイントは次の通りです
- 土壌が露出している
- 土壌が乾燥しておらず湿っている
- 土臭やカビの臭いがする
- 床下の空気がよどんでいる
特に床下が土壌の物件を検査する際、土が十分に乾燥しているかどうかを最初に確認します。
湿っている床下はシロアリにとって理想的な環境を提供します。湿潤な条件下ではシロアリの被害事例が多く、カビ臭さも湿気が多い証拠です。そのため、カビ臭を感じる住宅は、シロアリや木材の腐朽による被害に遭うリスクが高くなると言えます。
床下の換気口が不足している
建築基準法では、5メートルごとに最低300平方センチメートルの換気口を設置することが要求されていますが、古い家ではこの基準に満たないことがあります。
換気口が少ないと、床下の風通しも悪くなり、上記で述べたようなシロアリが好む停滞した空気の環境が形成されます。また、換気口の前に物を置くことは空気の流れをさらに悪化させるため避けるべきです。
雨漏りで「壁」「床」「柱」が濡れている
雨漏りは住宅にとって大きな敵であり、湿度が高い環境を引き起こし、シロアリを引き寄せる原因となります。
水分は木材の腐敗を進行させ、それがシロアリを引き寄せる成分を生成します。雨漏りが見られる場合は、特に注意が必要です。
押し入れがカビ臭い
押し入れは定期的にチェックし、カビ臭さや湿気が感じられたら、それが高湿度を示しています。これはシロアリが存在する可能性のある兆候です。常に空気を新鮮に保つよう努めましょう。
家の外壁や基礎に亀裂がある
家の外壁や基礎に亀裂が入っていると、それがシロアリの侵入経路になることがあります。
亀裂からの隠れ雨漏りも、シロアリにとって理想的な環境を作ってしまう原因の一つです。土汚れや亀裂を見つけたら、それが蟻道の可能性もあるため、注意が必要です。
見かけに騙されずに、疑わしい亀裂や汚れが蟻道である可能性を常に念頭に置くことが重要です。
家の周辺に物が多く置かれている
家の周囲に多くの物を置くことで日陰ができ、日光を避けるシロアリにとって侵入しやすい環境を作り出してしまいます。
特に、家の基礎や換気口の近くはシロアリが侵入しやすいため、これらの場所はできるだけ物を置かないようにすることをおすすめします。
庭に花壇や鉢植え、庭木が多い
花壇や鉢植え、庭木によっても日陰が作られ、シロアリにとって好ましい環境が作られます。木材を使用した花壇やプランターは特に注意が必要です。
ガーデニングを楽しむ際も、以下の点に気を付けることでシロアリの侵入を防げます:
- 鉢植えやプランターを外壁や地面から離す
- 枕木の代わりに石やレンガを使用する
- 木製のアイテムは防蟻処理されたものを選ぶ
敷地内に木材や樹木が豊富な場所
多くの家庭では、庭やエントランスのデザインに木材が使用されています。例えば、玄関のアプローチに枕木を敷くことや、エントランスに木製の柵を設置することがあります。これらの木材が地面に接していると、地中のシロアリにとって餌の源となり、シロアリの寄せ付けてしまう可能性があります。
さらに、樹木が密集している庭は日陰を作り、風通しを阻害します。これにより、シロアリを含む湿度や日陰を好む昆虫にとって活動しやすい環境が形成されるため、シロアリのリスクが高まる可能性があります。
水関連の地名を持つ土地
日本には数多くの河川と山々が存在し、山がある場所には自然と谷が形成され、そこに水が流れるのが一般的です。このような地形や水の存在により、歴史的に水に関連した地名が付けられてきました。
これらの地名を持つ場所は、現在水が流れていない場合でも、雨が降ると地形的に水が溜まりやすくなる傾向があります。谷間に家が建っている場合、その地形が湿度を保持しやすいため、建物に対する水分供給が継続し、その結果シロアリのリスクが他の地域よりも高くなる可能性があります。
家の周りで水を多用する
頻繁に玄関タイルを洗浄したり、庭木に過剰に水をやると、周囲が湿気を帯び、シロアリが好む環境が作られます。
長期間人が住んでいない家
長い間誰も住んでいない家や空き家は、シロアリの侵入に弱くなりがちです。空き家を相続した際は、特に注意が必要です。
山林を開発したニュータウン
山や雑木林を開発したニュータウンや分譲地は日本全国に多く見られます。現在ではGoogleマップやGoogleストリートビューを利用して、土地の過去の状況を確認することができるので、新しい住宅を検討する際には事前にチェックすることが推奨されます。
ただし、山林に建てられた全ての建物がシロアリ被害に遭うわけではありません。そのような環境に建てられた建物は、特にシロアリ予防対策や定期的なメンテナンスを行うことが重要です。これにより、シロアリの被害を未然に防ぐことが可能となります。
シロアリ被害で家が倒壊?
シロアリ被害が家の倒壊に直接つながるわけではありませんが、確かに倒壊のリスクは高まります。シロアリは木材を食べることで、建物の柱や梁など、構造に不可欠な部分を弱めます。これにより、建物全体の強度が落ち、地震や台風のような自然災害時に倒壊しやすくなる可能性があります。
シロアリ被害が進行すると、家の安全性が大きく損なわれるため、被害の早期発見と適切な対策が非常に重要です。
シロアリ被害が倒壊につながる実例
具体的な事例として、阪神・淡路大震災時の倒壊被害実態調査が挙げられます。この調査によると、シロアリ被害が進んでいた木造住宅は、被害が少ない家よりも倒壊しやすかったことが確認されました。シロアリによって構造材が弱まっていたため、地震の揺れに耐えられないケースが多発しました。
このような事例は、シロアリ被害が建物の倒壊リスクを増加させることを実証しており、自然災害の可能性に備えてシロアリ対策を行うことの重要性を示しています。
シロアリ被害のサイン
シロアリ被害の兆候はいくつかの明確なサインで見極めることができます。自宅がこれらのサインに該当するかどうかを注意深く確認することが重要です。以下はシロアリ被害の代表的なサインです
家の周辺で羽アリを見かけた
羽アリはシロアリの成虫で、繁殖期に現れます。これらを見かけるということは、近くにシロアリの巣が存在する可能性が高いです。羽アリは新たなコロニーを形成するために飛び立つため、その発見はシロアリの活動が活発であることを示しています。
家の中に粒状のフンを見つけた
シロアリが木材を消化した後のフンは粒状で、しばしば木材の近くで見つかります。これらのフンの存在は、シロアリが内部で活動している証拠です。粒状のフンが目立つ場所に集中している場合、そのエリアにシロアリの被害が進行している可能性があります。
床がぶよぶよしている
床が異常に柔らかい、または歩くと沈み込む感じがする場合、床下の木材がシロアリによって食害されている可能性があります。このような状態は、床の強度が既に大幅に低下していることを意味し、安全上のリスクとなりえます。
壁や柱を叩くと空洞音がする
シロアリは木材の内部を食べて進行するため、壁や柱が内部から空洞化している場合があります。壁や柱を軽く叩いてみて空洞音がする場合、シロアリによる被害が進んでいる証拠です。これは構造的な強度が既に損なわれている可能性があるため、速やかな対応が必要です。
これらのサインのいずれかに気付いた場合は、すぐにシロアリ防除の専門家に相談し、適切な処置を行うことが勧められます。早期発見と対策が、大きな被害を防ぐ鍵となります。
シロアリの活動時期
シロアリは年間を通じて活動する生物ですが、特に春から夏にかけての期間、つまり5月から7月は、彼らの活動が最も活発になる時期です。この時期、シロアリは増殖し、木材をより積極的に食害します。そのため、住宅にとっては特に注意が必要なシーズンとなります。
シロアリの活動ピーク
- 春から夏(5月から7月):暖かくなるこの期間はシロアリが最も活動的で、新しいコロニーを形成しやすいです。
- 一年中活動:シロアリは冬でも活動を続けますが、春から夏にかけての温暖な気候は彼らにとって最適な環境を提供します。
シロアリ対策の最適な時期
対策はできるだけ早めに行うことが推奨されます。特に3月ごろ、まだ寒さが残る時期に予防策や駆除を計画すると効果的です。シロアリの動きが比較的鈍いこの時期に駆除を行うことで、暖かくなって活動が活発化する前に被害を抑制することができます。
早期に対策を講じることで、シロアリの被害を大幅に減少させることが可能です。家の構造に長期的な損害を避けるためにも、春先からのシロアリ対策を心掛けましょう。
羽アリが飛ぶ時期一覧表
シロアリの種類 | 羽アリが飛ぶ時期 |
ヤマトシロアリ | 4~5月(ただし沖縄は2月、東北・北海道は6月頃)の昼間この時期は特に本州でシロアリの群飛が多く見られます。沖縄ではもっと早く2月に、東北や北海道では少し遅れて6月頃に見られることが一般的です。 |
イエシロアリ | 6~7月の夜に電灯に飛来する暖かく湿度が高い夜、シロアリは光に引かれて活動的になり、特に電灯の周りで群飛する姿が目撃されます。 |
ダイコクシロアリ | 5~8月の夜に少数ずつ群飛して電灯に集まるこの期間中、シロアリはより頻繁に群飛を行い、特に夜間に光源に向かって飛んでくる様子が観察されます。 |
アメリカカンザイシロアリ | 6~9月の昼間に数回ずつ何度も群飛する最も活動的な期間であり、日中でも複数回にわたって群飛が見られます。この時期には新たなコロニーを形成するための活動が最も高まります。 |
シロアリの巣は自然になくなる?
シロアリの巣を発見した場合、直感的には巣を壊すか、手近な殺虫剤を使用することを考えがちですが、このような対応は避けるべきです。シロアリはコロニーという集団で生息し、巣を無計画に攻撃すると、シロアリが散らばって新たな巣を作る可能性があります。
シロアリの巣の構造と範囲を正確に把握することは一般の方には困難であり、部分的な駆除はかえって巣を拡大させる結果を招くことがあります。また、シロアリの巣は自然に消滅することがなく、駆除する際は巣全体を徹底的に取り除く必要があります。
このため、シロアリの駆除にはシロアリの生態に詳しい専門の事業者に依頼するのが最良です。プロの事業者は、シロアリの駆除だけでなく、再発防止策や定期的な点検を通じて、長期的な対策を提供してくれます。専門家に依頼することで、シロアリ問題を根本から解決し、家の安全を確保できるため、結果的にはより効果的で経済的な選択となります。
最後に
今回はシロアリの被害に遭いやすいお家の特徴をご紹介しました。周りの環境や簡単にリフォームできない基礎の部分などどうしても自力では対策が難しいところもあります。
ただ、今回ご紹介したのは、あくまでも「遭いやすい」ということであり、必ず被害にあってしまうわけではありません。
シロアリの特徴や対策、予防を知ることでシロアリ被害に合う可能性を低くすることができます。
石原住設ではシロアリ駆除、予防、食害部の補修工事を承っております。シロアリにお困りの方、ご不安の方、まずはお気軽にお問い合わせください。