蟻道(ぎどう)とは
シロアリが通るトンネル
シロアリが作る蟻道は巣と食料源を結ぶトンネルです。蟻道は土や木材などの素材で作られ、シロアリが外敵から身を守りながら、安全に移動するための道として機能します。
また、蟻道は湿度や温度を一定に保ち、コロニーを保護する役割も持っているのです。コロニーとは社会的集団を意味し、一般には女王(繁殖を担う)、働き蟻(労働を担う)、兵隊蟻(防御を担う)など、役割に応じた階級制度で動く生物にみられます。
蟻道があるということは、シロアリの活動が行われており、建物や住宅のシロアリ被害があるかもしれません。したがって、蟻道を発見した場合は、早急にシロアリ対策しなければなりません。
蟻道と巣の違い
蟻道は単純な移動路であるのに対し、蟻の巣は生活の全般を支える複合的な環境です。
蟻道は、アリが食料や資源を運ぶために使う道であり、巣の外部と内部を繋いだり、食料源を結ぶ通路です。一方、蟻の巣はアリの家族が生活し、繁殖するための住居であり、多数の部屋や通路がある複雑な構造をしています。
シロアリの種類によって蟻道が異なる
シロアリの種類によって、蟻道の構造や特性には大きな違いがあります。
シロアリの中で蟻道を作るのは、主にヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。ヤマトシロアリが作る蟻道は、比較的細く、地面の表面に見られます。一方、イエシロアリは建物の構造内部に作られ、太く目立つ蟻道を作ります。このように蟻道の特徴によって、どの種類のシロアリが住んでいるか予測できます。
蟻道は空中やコンクリートにもできる
蟻道は壁などに沿って作られるイメージが大きいですが、空中やコンクリートにも作られます。蟻が大きな石などにぶつかって、壁だと勘違いしたときに食料があると勘違いするからです。
空中に作られる蟻道は木の枝から枝へと架けられた橋やトンネルの形をしており、アリは蟻道を安全に移動できます。
また、コンクリートや建築物の中に作られる蟻道は、シロアリが侵入しやすい小さな亀裂や穴を利用して形成されます。このように、蟻道はシロアリが様々な環境で生き延びるために蟻道を作ります。
蟻道は100mくらいの長さまで伸びる
シロアリは食料源や新しい巣地を探索する過程で、100m以上にも及ぶ蟻道を作ることが知られています。蟻道はアリが集団で移動する際の道順となり、安全かつ効率的に食べものを運搬するために利用されるのです。
また、長い蟻道を作ればアリはより広範囲で食料を探索でき、巣の範囲を拡大します。このように巣を大きくするために蟻道は100mをこえる可能性があります。
イエシロアリが巣を作る
イエシロアリは木材を食べながら木材の中に巣を作るシロアリの一種です。彼らは特に家屋の木材部分を好み、湿った木材を食害しながらトンネルシステムと巣をつくります。
イエシロアリの巣作りは、木材の内部から進行するため、初期段階では外からの被害が目立たず、気づかれにくいです。しかし、イエシロアリの活動は建物の構造的な強度を徐々に低下させるため早期発見と対策が必要です。
シロアリの巣は深さ1m以上
シロアリの巣は種類によって異なりますが、地中深くに広がるものは深さ1メートル以上に及ぶことがあります。特に地中に生息するシロアリの場合、巣は地下深くまで複数に拡がり、中には10メートル以上の深さに達します。
巣は地表近くから地下深くにかけて複数の室とトンネルで構成されており、シロアリの社会が生活するのに必要な環境を提供します。深い巣は、温度や湿度を一年を通して安定させ、シロアリのコロニーにとって理想的な生息環境を作り出すのです。
シロアリとクロアリの蟻道の違い
蟻道を見つけたが、シロアリかクロアリかわからない方も多いはずです。ここでは、シロアリとクロアリの蟻道の違いを解説します。
シロアリの蟻道の特徴
シロアリの蟻道の特徴を解説します。
シロアリの排せつ物で作られている
シロアリの蟻道はシロアリが排せつした物質と土や木片を混ぜ合わせて作られます。シロアリの排せつ物は蟻道の構造を固めるのに役立つだけでなく、コロニー内のコミュニケーションにも使われます。排せつ物を含む蟻道は湿度と温度をコントロールする効果もあり、シロアリの生存に不可欠です。
土が固まったような表面
シロアリの蟻道は、土や唾液、糞を混ぜ合わせて作っており、土が固まったような見た目です。蟻道は乾燥すると非常に硬くなり、崩れにくくなります。硬化した蟻道は以下の効果があります。
• 蟻道を外部の敵や乾燥から保護する
• 内部の湿度と温度を一定に保つ
このように、シロアリによって作られる蟻道や巣は、耐久性と環境調節能力があり、シロアリにとって活動しやすい環境になっています。また、この硬化した蟻道は、シロアリの存在を示すサインとして、建物の被害調査時に活用されています。
丈夫で手でなぞっても崩れない
シロアリが作る蟻道はシロアリが分泌する唾液、土、糞を組み合わせて作られ、時間が経つと硬く固まります。固まった蟻道は、手で触っても容易には崩れないほど強固になります。このように、シロアリの巣は外敵や外部の環境から守るために硬い作りになっています。
湿っぽくなっている
シロアリの蟻道が湿っぽくなっているのは、シロアリが生存に必要な湿度を保つためです。シロアリは湿度が高い環境を好み、活動しやすい環境を作るため以下のような工夫をして、蟻道内部の湿度を一定に保っています。
• 水分を保持しやすい土や糞、唾液の混合物を蟻道に使用している
• 地下から水分を運ぶ
このようにしてシロアリは巣全体の湿度を調節します。
クロアリの蟻道の特徴
木くずで作られている
クロアリが作る蟻道の特徴として、木くずを主材料として使用する点が挙げられます。クロアリは、木材や植物の茎から得られる木くずや細かい植物の繊維を集め、唾液で固めて蟻道や巣の構造を作ります。
木くずを利用して作った蟻道は軽くて保温性があり、クロアリが過ごしやすい環境です。
もろく崩れやすい
クロアリが作る蟻道は主に木くずや植物の繊維、そして彼らの唾液を混ぜ合わせて構成されています。クロアリの蟻道に使われる素材は、どこにでもあり、利用が簡単な一方で、耐久性には限界があります。
特に、水分にさらされたり、物理的な圧力を受けたりすると、蟻道はもろくなり、崩れやすいです。シロアリと違いクロアリの巣は外敵や環境変化に対して脆弱であり、巣を移動する回数も多くなります。
シロアリはなぜ蟻道(ぎどう)をつくるの?
シロアリが蟻道(ぎどう)を作る主な理由は、シロアリが乾燥や捕食者から身を守り、食物源へのアクセスを容易にする安全な通路を確保するためです。
例えば、蟻道がなければシロアリは体力が持たず、巣まで食料を持って帰れない可能性が出てきます。このように、食料を巣まで運ぶ役割を果たすためにシロアリは蟻道を作っているのです。蟻道があればコミュニケーションを取りやすく、資源の分配も促進できます。
シロアリの蟻道が作られやすい場所とは?
基礎の立ち上がり部分
シロアリが蟻道を作りやすい場所の一つに、建物の基礎の立ち上がり部分があります。基礎の立ち上がり部分とは建物の基礎と地面の間、または基礎が地面から立ち上がる部分を指します。
シロアリが基礎の立ち上がり部分を場所を好む理由は地面と建物の接触部分に湿気がたまりやすく、シロアリにとって生活しやすい環境が形成されるためです。また、立ち上がり部分は、家の内部へ侵入するための入口として機能し、人からバレにくい理想的な場所です。
床下の配管のすきま
床下の配管のすきまは配管周辺が湿気を帯びやすく、シロアリにとって理想的な環境を提供します。配管からの微小な水分の漏れや結露は、床下の湿度を高め、シロアリが好む条件を作り出します。
また、配管のすきまは、シロアリにとって隠れやすい通路や侵入口となり、人に気づかれることなく巣を拡張していくことが可能です。このため、配管の周囲はシロアリの侵入を防ぐための点検とメンテナンスが特に重要な箇所となります。
束石・床束
束石や床束は建物の基礎を支えるための構造部材であり、シロアリが蟻道を作りやすい場所として知られています。束石や床束は建物と地面との接点となるため、湿気が溜まりやすい場所です。
特に、土壌の湿度が高い場所や、水はけが悪い地域では、束石や床束周辺の湿度がさらに高くなるので注意が必要です。シロアリは湿った環境を活かし、蟻道を通じて建物の木部に侵入し、食害を始めます。そのため、建物の基礎部分の適切な防湿・排水対策を定期的に行いましょう。
基礎の断熱材
断熱材は、建物の温度を一定に保つ役割を果たしますが、その特性が湿気を保持しやすい環境を作り出すことがあります。
特に、断熱材の設置場所がズレている場合や、外部からの水分侵入がある場合は、断熱材周辺が湿った状態になりやすいです。シロアリはこのような湿度の高い場所を好むため、断熱材を正しい設置場所に設置し、定期的な点検を行って対策する必要があります。
床下の柱
床下の柱は床下の環境が湿気を保持しやすく、蟻道が作られやすい場所です。床下の換気が不十分であったり、雨水がはいってしまったりした場合に湿度が高くなります。
シロアリは湿った木材を好むため、床下の柱を通じて建物内に侵入し、そこから蟻道を拡張していきます。柱は建物を支える大切な構造です。建物の安全性に直接的な影響を及ぼす可能性があるため、床下の適切な換気と湿度管理を徹底しましょう。
掘りごたつ
掘りごたつは床を掘り下げて作られた和室の一部で、冬場に暖を取るために用いられます。この掘り下げた部分にシロアリの蟻道が作られる可能性が高いです。理由は以下の通りです。
• 掘りごたつ周辺の床下が他の部分よりも湿気を帯びやすい
• 湿気で掘りごたつの周囲の木材を軟らかくするため
• 床面が低くシロアリが地面から侵入しやすい
このように、シロアリによる食害が起こりやすい環境が整っているため、掘りごたつのある家庭はこまめに蟻道の点検をしましょう。
庭の杭
庭の杭は木製のものが多く、地面に直接接触しているため、湿気を吸収しやすくなります。湿った木材はシロアリにとって魅力的な食料源であり、地面に直接触れている庭の杭の近くは生息場所としても理想的です。さらにシロアリは、地面から庭の杭の内部を通り、家屋や他の構造物へ侵入することがあります。
蟻道はシロアリが杭の内部や周辺に作り、安全に移動するための通路として活用するのです。シロアリが家へたどり着く前に発見するためにも、木製構造物の定期的な点検と保守が必要です。
庭の廃材
庭に放置された廃材はシロアリが蟻道を作りやすい場所になります。木材、枝、葉からなる廃材は、シロアリの食料源です。廃材が地面に接触していると湿気を吸収し、シロアリの生息に適した湿度条件を作り出します。
特に、廃材が積み重ねられた場合、内部は湿った状態が維持されやすく、シロアリにとって理想的な隠れ家となります。シロアリは廃材を起点として蟻道を拡張し、やがては家屋や他の建築物へ侵入する可能性があります。そのため、庭の廃材は定期的に処理し、シロアリの被害を未然に防ぐことが重要です。
コンクリートの表面
コンクリートの表面は一見シロアリが蟻道を作れない場所に見えますが、コンクリートにも蟻道はできます。コンクリートのひび割れや隙間から家の内部に侵入できたり、内部の湿った木材へアクセスするための入口となったりするからです。
特に基礎部分や地面に近いコンクリートの表面に発生した細かな亀裂を通じて、シロアリは建物の内部へと侵入できることがあります。コンクリート部分も蟻道ができる可能性があるので、見落とさないように気をつけましょう。
地表から空中
地表から空中へ伸びるシロアリの蟻道は、シロアリが食料源や新たな巣地を探索する際に作られる特徴的な構造です。空中に伸びた蟻道は地面の湿った環境から木の枝や建物の基礎部分へと伸び、シロアリが安全に移動するための保護された通り道を作ります。シロアリは空中に伸びた蟻道を利用して、地上の巣から食料源へ直接アクセスしたり、新しい巣地を確保したりします。
防蟻後の木材の上
防蟻処理を施した木材の上でも、シロアリは蟻道を作ることがあります。防蟻処理は、木材をシロアリの被害から保護するために化学薬品を使って処理する方法です。しかし、以下の理由で防蟻後の木材の上にも蟻道を作れます。
• 時間の経過で薬剤の効果が薄まった
• 完全にすべてのシロアリを防げない薬品
• 薬品の処理が処理が不十分だった部分
• 新たに発生した亀裂や隙間がある
このように、防蟻処理の効果が低下しているか、処理から漏れていた場所がある場合は防蟻後の木材の上にも蟻道を作れます。
シロアリの蟻道を見つけたらどうする?
シロアリの蟻道を見つけた際に崩してしまってはいけません。シロアリの被害が広がってしまったり、シロアリの巣を見つけられなくなったりするので注意してください。ここでは、シロアリの蟻道を見つけた時の対処法について解説します。
シロアリの蟻道か確認する
蟻道を見つけた際にシロアリの蟻道かを確認するには、いくつかの特徴を観察します。シロアリの蟻道は通常、土や泥を使って作られ、木材や建物の基礎部分に沿って伸びている可能性が高いです。
シロアリの蟻道の特徴は以下の通りです。
• 表面は比較的滑らかで
• 内部は湿っている
• 断面を割れば中を移動するシロアリを発見できる
• 木材を叩くと中が空洞になっている音がする
確実な判断のためには、専門の害虫駆除業者に相談した方が良いでしょう。
蟻道は崩さない
シロアリの蟻道を見つけた場合、蟻道を崩すのは避けるべきです。蟻道を崩すと、以下のリスクが発生します。
• シロアリが危険を感じて別の場所に移動する
• 新たな蟻道を作り始める可能性がある
• シロアリの活動範囲が拡大する
• 被害がさらに広がる
• シロアリの巣の正確な位置や範囲を把握できなくなる
シロアリの蟻道を発見したら、まずは状態をそのまま保っておきましょう。
専門業者に駆除を依頼する
シロアリの蟻道を見つけた場合、専門業者に駆除を依頼しましょう。シロアリ駆除の専門業者は、以下の対応を行なってくれます。
• シロアリの種類の特定
• 被害の範囲調査
• 効果的な駆除方法の選定
• 巣の破壊
• 再発防止策
• 定期的なメンテナンス
• アフターサービス
自分での駆除は、シロアリの巣を完全に取り除くことが難しく、場合によってはシロアリの被害を広げるリスクが発生します。専門業者に依頼することで、安心かつ持続的な解決ができるので、シロアリの巣を見つけたら専門業者に早めに相談してください。
石原住設ではシロアリ予防からシロアリ駆除工事まで承っております。お気軽にご相談ください。